税理士試験「簿記論」の第3問では、やや実務的な出題がなされることがあります。
かなり細かくて、実務経験のない方は面食らうのではないでしょうか(って、きっともう面食らってますね)。

そんなやや実務チックな出題のうち有形固定資産の取得原価、しかも、建物の建築にまつわる儀式の話です。
建物を建築する際等のイベントとしては、次のようなものが考えられます。

(1)地鎮祭(じちんさい)
(2)上棟式(じょうとうしき)
(3)落成式(らくせいしき)


いずれもある種の儀式です。

地鎮祭は、建物を建てる前に、神主さんを呼んで、行うやつです。

上棟式は、建物の建築の途中で棟木(むなぎ・むねぎ)と呼ばれる木をあげるとき行うやつです。
棟上式(むねあげしき)、建前(たてまえ)などとも呼ばれます。

落成式は、建物の完成を祝うやつです。

これらに対する取扱いですが、
(1)建物を建築し、それを事業の用に供するまでにかかった費用は、全部取得原価に含めるという考え方もあるでしょう。
(2)建物が実際に完成し、事業の用に供することが可能になるまでの費用は取得原価に入れるべきだという考えもなりたちそうです。

いずれの考えをとっても地鎮祭・上棟式の費用が取得原価に含まれることは間違いありません。
落成式については、取得原価・費用処理のいずれも成り立つ可能性はあるかもしれません。
しかし、落成式の方が地鎮祭・上棟式よりも一般に儀式色が薄く、むしろ完成のお披露目的な要素は濃いといってよいでしょう。
完成後の事後費用ということで税務上も経費とすることが認められています。

もちろん、問題の指示が最優先ですが、何も指示がなければ、次のような処理が無難ではないかと思います。

地鎮祭・上棟式 → 取得原価
落成式     → 費用処理


(参考問題)
税理士試験 簿記論 細目問題23(有形固定資産の取得原価)