簿記２級 商業簿記 問題２１（株式会社会計）

【対象＝２級以上】

（問題）
次の一連の取引の仕訳を示しなさい。

（１）Ａ株式会社は、取締役会の決議により、株式１００株を公募により発行することとした。
株式の発行価額は１株につき８００千円であり、１株当たり３００千円を資本金に組入れないこととし、かつ、発行価額と同額の申込証拠金を受入れることとした。申込期日までに全額が払込まれている。

（２）払込期日に増資の記帳を行い、同時に別段預金を当座預金に振替えた。

（解答）【単位：千円】

（１）（借）別段預金　　　８０，０００　（貸）株式申込証拠金８０，０００
（２）（借）株式申込証拠金８０，０００　（貸）資 本 金　　　５０，０００
　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　資本準備金３０，０００
　　　　　 当座預金　　　８０，０００　　　　別段預金　　　８０，０００

（許容勘定科目等）
株式払込証拠金→新株式申込証拠金

（解説）
払い込まれた申込証拠金は、株式申込証拠金勘定で処理します。
株式申込証拠金勘定は、「払込期日」に資本金勘定及び資本準備金勘定に振替えます。

Comments

[1. ２月のチャレンジャー]

前回の問題についての質問をさせていただきましたが、
そのご回答をしっかり理解できたので、
今回の問題はすぐに解くことができました。

[2. 講師]

おっ。
いい感じかもしれないですね。
問題演習を繰り返しつつ、理解が実感できる項目を増やしていければ、怖いものなしかもしれないです。
この調子でがんばってくださいね。

[3. キクマサムネ]

いつも、こちらのブログを活用させていただいております。
当方、簿記二級取得に向けて、独学している者です。
本題ですが、「株式会社会計」の仕訳ですが、
素直に「こういうものだ」と納得するのは、簡単ですが、本質を理解しようとすると、
（１）で、払込まれている８０，０００千円が（２）で、二組の勘定となって、現れるのが、理解できません。

簡単に理解できるイメージとしては、
（１）の８０，０００千円が、資本金及び株式払込剰余金に、４０，０００千円、当座預金に４，０００千円と振り返られるとなれば、理解しやすいのですが、
なぜ、（１）の８０，０００円が（２）では、
二つになるように感じます。
どのように理解すれば、良いのでしょうか？

稚拙な質問とは、承知ですが、無理に暗記するより、構造として、理解したいので、恥を忍んで、質問させて頂きました。何卒よろしくお願い致します。

[4. 講師]

キクマサムネさん、はじめまして。
よろしくお願いします。

資本金や資本準備金（株式払込剰余金）の意味はわかりずらいですね。

（１）はお金を預った処理です。
株式申込証拠金というと何ですが、要は預り金（負債）に近いです。
企業は預ったお金は払込期日まで使ってはいけないので、これをちょっと特殊な（おろせない）預金に預けます。これが別段預金です。

別段預金80,000　預り金80,000

（２）の処理は、この別段預金と預り金のそれぞれの結末の処理です。

[5. 講師]

別段預金は、払込期日には使える預金（当座預金）になります（預金の預け替えです）。
これが（２）の下の処理です。

当座預金80,000　別段預金80,000

預り金は、原則的に、その全額を資本金にします。

預り金80,000　資本金80,000

この貸方の資本金の意味は難しいですね。
80,000を後で返さないといけないなら、借入金のように考えられるんでしょうが、別に返さなければいけない訳ではありません。
仕訳のルールからいって、貸方が80,000となるのは間違いないです。

[6. 講師]

しかし、それをどうするかは企業会計のルールというより、会社法という法律で決まっています。

（１）全部80,000を資本金にする。
（２）半分以上を資本金にする。

このどちらかです。
資本金にしなかった場合は、資本準備金（株式払込剰余金にしろというのがルールです。

もしかするとスカっている気がしますので、スカっていたらおっしゃっていただけると助かります。

[7. キクマサムネ]

わかりやすい解説、ありがとうございました。

「別段預金は、払込期日には使える預金（当座預金）になります（預金の預け替えです）。」

この部分は、理解しやすかっかです。

また、
当座預金80,000　別段預金80,000

この仕訳は、預金方法に関するものと理解すればよいのですね。

ありがとうございました。

[8. 講師]

ちょっと実感がもてたようでよかったです。
預金の預け替えってことなんですね。

また、何かありましたら遠慮なくおっしゃってください。