近時、企業会計の目的は、「投資意思決定」に向けられて語られる事が多くなりました。
もちろん、企業をとりまく利害関係者は、投資家だけではありません。
このような傾向が進んだとしても、投資家以外の利害関係者を全く無視した制度ができあがるという事にもならないでしょう。

また、このような傾向に対しては、会計が投資家にとっての手先(言い過ぎか)になっているとの批判もあります。
しかし、大事なのは、このような傾向は、進みこそすれ、逆戻りすることはないのではないかと思える点です。
その事は、会計以外の異なる価値判断とは、かかわりがないと思います。

投資家は、企業に資金を投下し、企業がその資金を運用して、どれだけの成果、すなわち、利益を獲得したのかに関心を持ちます。
「投資」と「利益」の関係に興味がある訳です。

「投資」と「利益」の関係を企業の側で考えると「資本」と「利益」と置き換えることができるでしょう。
どれだけの「資本」で、どれだけの「利益」を獲得したのか。
その関係にこそ投資家の興味があるといってよい訳です。

「クリーンサープラス関係」などと呼ばれる損益計算書と貸借対照表の関係が求められるのもこのような観点からのものといってよいでしょう。

新しい財務諸表の体系の変化の背後には、このような企業会計の目的(投資意思決定支援)と大きなかかわりをもっていることがわかると思います。