再振替仕訳を決算整理の行われた翌期首に行う理由の一つは、いわば簿記の理論上のものです。

このような立場によれば、開始・期中・決算という簿記一巡におけるそれぞれの手続きの役割分担を重視し、その混乱をきらいます。

前回ご紹介した直接整理法との整合を図る上からも、翌期首に再振替仕訳を行うこととされる訳です。

ただし、この直接整理法は、受験簿記で、触れられることはほとんどありません。

また、一般的な簿記の書物をご覧いただいてもわかるように、受験ではなく、一般的な学問としての簿記レベルでも触れられることは多くありません。

ほとんど触れられることのない方法との比較で説明されても多くの受験生は意味不明の状態ではないかと思います(それで構わないと思います)。


そして、もっとも大きな問題が、私自身が軽く納得していない点です。

開始・期中・決算という役割分担の意味はわかるのですが、例えば、もう一方の開始手続(開始仕訳・開始記入)のように、必然的とまでは言いがたいようにも思えるのです。

開始仕訳→転記や開始記入が行われなければ、帳簿上は、例えば、現金勘定の残高はゼロのままです。

このまま、期中の手続きを行うのは、どう考えてもおかしいでしょう。


また、決算整理→決算振替(損益振替→資本振替)という順序は納得がいきます。

決算整理が損益や財産を帳簿上、きちんと算出するための手続きとするなら、これを受けて初めて、損益振替を行うことができる訳ですし、損益振替を行わなければ、もちろん資本振替も行うことはできません。


しかし、再振替仕訳を「開始仕訳・開始記入の後」、「期中手続に入る前」というタイミングで行わなければならないという事が、理論的に自明の事とは必ずしも思えないのです。

事実、いくつかの期中取引の段階では、決算整理事項と考えられる処理を並行的に行うのが一般化している例があります(期中で売却した固定資産の減価償却費の計上を売却の処理と同時に行う処理は、割と一般化しているといってよいと思います)。

また、逆に、商品勘定の処理について、三分割法をとった場合の決算整理の一部(仕入××× 繰越商品×××)は、むしろ、期首に行うべきだといえることになるのではないでしょうか(このような処理は、むろん一般的ではありません)。


また、直接整理法は、ある種の簡便的な処理方法であると考えられますが、簡便的な処理方法とのバラスンを重視し、原則的な処理法を考えなければならないとすることには、多少の疑問を感じます。


次回以降は、簿記の純粋な理論的な側面ではなく、いわば実践に配慮した考え方をご紹介したいと思います。


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