再振替仕訳は、「決算整理で行われた経過勘定項目設定時の翌期首における逆仕訳」です。

「収支」と「損益」とでは決算整理を行う前の段階で違いがあります。

その「収支」を「損益」に修正するために決算段階で登場するのが、経過勘定項目です。

伝統的な期間損益計算は、基本的には、「収支」を「損益」に変換すことで行いますので、実際の経過勘定項目は、もう少し狭い範囲のものです。

より具体的に経過勘定項目を規定しているのが企業会計原則の注解5です。

企業会計原則の注解5におけるもっとも大きな前提が、「継続的な役務提供契約」に係るものである点です。

継続的な役務提供契約であるからこそ、経過勘定項目の設定時にも期間按分(通常の問題では、月数按分)が合理性を持ちます。

単発的な役務提供契約や資産の売買(契約)については、そもそも注解5の対象とはなりません。


今、支出取引に限定して、少し考えてみましょう。

○○○××× 現金預金×××

今、借方側(支出)のみで考えてみると、費用(ないしは資産)が生ずる可能性があるのは、資産の購入か、役務の提供でしょう(両者の混在も考えられます)。

注解5では、このうち役務の提供しか対象にしていないことになります。

また、役務の提供には、一回こっきりというものもあれば、継続的なものもあります。

注解5では、このうち継続的な役務の提供を対象としている訳です。


注解5ではもう一つの大きなキーワードがあります。

それが、「時の経過」という点です。

「時の経過」とともに次期以降の費用となるのが前払費用です。


このような意味での費用(収益)の認識基準は、時に時間基準と呼ばれることもあります。

最も発生主義らしい発生主義でもあり、「狭義の発生主義」と呼んでもよいでしょう。

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