【ヘッジ会計の意義】
ヘッジ会計とは、ヘッジ関係(「そん」と「もうけ」が相殺されるような関係)にある対象(例えば売掛金)と手段(例えば為替予約)の損益のバランスをとるための特別な会計処理をいいます。

「ヘッジ対象」とは、「リスクにさらされている項目」をいいます。
「ヘッジ手段」とは、「そのリスクを回避するための項目」をいいます。

売掛金は、実際の入金段階の為替相場で入金されます。
それまでの為替相場の変動の影響を受けます。
1ドルの商品を掛売りすれば、1ドルの売掛金が生じます。
商品を売った段階の為替相場が1ドル=100円でも、その後に1ドル90円になってしまえば、90円の入金しかありません(もちろんその逆の可能性もあります)。
損をするかもしれないリスクにさらされているのがヘッジ対象です。

入金額は為替相場の変動の影響を受けます。
でも自分は100円の入金があればいいよ。
そんな場合には、入金時の相場を事前に確定させてしまえばよいでしょう。
そのためには、たとえば為替予約(決済時の相場の予約)を行えばよいです。
この場合の為替予約がヘッジ手段です。

為替予約は単独でも行うことが可能です。
しかし、上記の場合の為替予約は、外貨建売掛金という不安定な(為替リスクのある)項目とセットで行われています。
このような損益面でのセット(相殺される関係)を狙った項目同志の損益は、同じ会計期間に計上するのが合理的です。

ヘッジ対象とヘッジ手段にかかる損益を同一の会計期間に帰属させることにヘッジ会計の目的があります。


【ヘッジ会計の処理方法】
ヘッジ会計の処理方法には、「繰延ヘッジ会計」と「時価ヘッジ会計」があります。
原則として、繰延ヘッジ会計が適用され、時価ヘッジ会計が適用できる場合は、その適用も認めてられています。

(1)繰延ヘッジ会計(原則)
繰延ヘッジ会計は、損益の先送りです。
原価評価されているヘッジ対象、または将来生じる予定のヘッジ対象に係る損益が認識されるまで、時価評価されているヘッジ手段に係る損益や評価差額を資産・負債として繰延べる会計処理方法が繰延ヘッジ会計です。

(2)時価ヘッジ会計(例外)
時価ヘッジ会計は、損益の前倒しです。
ヘッジ対象とヘッジ手段をともに時価で測定することにより、両者の時価の変動によって生じる損益を発生期間の損益として認識する方法をいいます。


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