(借)保証債務費用××× (貸)保証債務×××

手形割引時には、通常の手形割引の処理と一緒に上記のような処理を行うこととされています。
この「保証債務」は、どのような意味をもつのでしょうか。
保証債務の性格を考えるにあたっては、手形についての独特の仕組みを知っている必要があるでしょう。

手形割引は、法律的には、資産の譲渡に他なりません。
受取手形という手形債権が、所有者の手許を離れてハイこれで完結というのであれば、受取手形という資産がなくなった(貸方・受取手形)という処理だけで問題ないでしょう。
しかし、手形には、売掛金や貸付金といった他の債権にはみられない特徴があります。
それが遡及というシステムです。

手形には、手形を転々と流通させやすくなるように、手形に直接かかわった人に最後の決済まで責任を負わせるシステムがあります。

A(振出)→B(裏書・割引)→C

現在の所有者Cは、期日にAが支払いを行えない事態が生じた場合、その代金を、Bに請求することができます。
このような行為を遡及といい、その権利は遡及権と呼ばれます。
また、Bにしてみれば、Cに手形を譲渡したならば、もうなんの義務を負うことはない訳ではなく、Aが支払不能に陥れば、手形代金を支払う義務を負うことになる訳です。
このような義務を遡及義務と呼びます。

このような遡及義務は、債務であることには間違いありませんが、必ずしなければならないという訳ではありません。
そこで、このような債務は、「偶発債務」と呼ばれたりします。
このような偶発債務をどのように帳簿上の記録として残しておくのかについて、従来はいくつかの方法が考えられました。

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