同様に資産の売却取引といっても「有形固定資産や有価証券の売却取引」と「手形の売却取引」とでは大きな違いがあります。

それは、売却益がでる場合があるかどうかです。

有形固定資産や有価証券を売却した場合には、固定資産売却益や有価証券売却益が生じることがありました。

手形の売却(手形割引)の場合はどうでしょうか?

手形売却益という勘定科目は、聞いたことがありません。

これはたまたまなのでしょうか。

手形売却益が生ずることは、考えられないのでしょうか?


結論的には、手形売却益が生じることはありません。

しかし、必ず損をする(損がでる)売却?

何かおかしくないでしょうか。

おかしいとすれば、おかしさの原因はどこにあるのでしょうか?


その原因は、受取手形の帳簿価額にあります。

資産の売却損益は、「売却代金−帳簿価額」で求められます。

帳簿価額100円の資産を120円で売却したなら、120−100で、20が売却益です。


帳簿価額<売却代金……売却益

帳簿価額>売却代金……売却損


という関係があります。

売却損が常にでるということは、売却代金が小さすぎるか、帳簿価額が大きすぎることを意味しているのでしょう。

売却代金が小さすぎるという訳ではなさそうです。

不適切に小さいのであれば、企業が取引をすること自体が不合理ということになってしまいます。

そう、帳簿価額が大きすぎるのです。


どうやら、手形割引時の貸方・受取手形の金額に問題がありそうです。

この額は、当初の売上(売掛金の回収)時から何ら変りがありません。

つまりは、当初の取引、


(借)受取手形××× (貸)売 上×××


この取引金額そのものに問題がありそうです。

次回は、この取引について考えてみたいと思います。



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