【開始手続の意味】

簿記一巡の手続は、「開始→期中→決算」という順をたどります。

このうち開始手続について、大陸式と英米式との違いに注目しながらみていきましょう。

前期末に帳簿を締め切った段階で、仕訳帳及び元帳は、いわば白紙の状態です。

この白紙の状態から期中の日常的取引の記録を行う前の「帳簿の準備作業」が開始手続です。

開始手続には、「英米式」では、開始記入と再振替仕訳、「大陸式」では、開始仕訳と再振替仕訳があります。


<開始手続>
英米式:開始記入+再振替仕訳
大陸式:開始仕訳+再振替仕訳




【英米式の開始手続】……開始記入+再振替仕訳
英米式でまず最初に行われるのが、前期繰越の記入(開始記入)です。

元帳は、前期末の時点で、次期繰越の記入が行われ、締め切られています。

これを期首の段階で、次期繰越と逆の側(正規の側)に前期繰越と記入するのが、開始記入です。



【大陸式の開始手続】……開始仕訳+再振替仕訳

英米式の場合には、帳簿上、前期繰越という記入を行いますが、大陸式の場合は、この手続も「仕訳帳」を経由します。

大陸式は、仕訳帳→元帳という流れを重視するため、いきなり元帳上だけの手続を行うことはしないのです。

大陸式における最初の仕訳が開始仕訳ですが、この開始仕訳の違いから、大陸式にも二つの種類が区別されます。

純大陸式と準大陸式(準ずる大陸式)です。

いま、期首の残高を、現金100、売掛金200、買掛金50、資本金250としましょう。

(純大陸式)
(借)現   金100 (貸)開始残高300
   売 掛 金200
   開始残高300 資 本 金250
             買 掛 金 50

(準大陸式)
(借)現   金100 (貸)資 本 金250
   売 掛 金200    買 掛 金 50

大陸式の大きな特徴は、仕訳→元帳という手順を貫く点にあります。

この点を決算時の残高勘定同様に「開始残高」勘定という集合勘定を用いて、開始仕訳を行うのが「純大陸式」です。

しかし、決算時に期末残高を「残高」(純大陸式の場合は、「決算残高」または「閉鎖残高」)勘定に転記し、この記録を残すことにそれなりの意味はあるとしても、期首に前期末の記録と全く逆の記録を「開始残高」勘定に残しておく意味は余りありません。

そこで、開始残高勘定を省略し、資産、負債、資本の各勘定の金額をもって直接開始仕訳を行うのが準大陸式です。



【元帳上の相手勘定科目】

非常に細かい話ですが、元帳上の相手勘定科目をみておきましょう。

(1)純大陸式

開始残高勘定 → 資産・負債・資本の各勘定(集合勘定では、諸口は使わない)

資産等の勘定 → 開始残高(前期繰越)

開始仕訳では、「開始残高」勘定にそのまま転記します。

集合勘定である開始残高勘定には、相手勘定科目名を諸口とはせず、それぞれの資産等の勘定科目名が記入されます。

また、資産等の各勘定については、開始残高勘定が相手勘定ですので、開始残高勘定でもいいですが、前期繰越とする例が多いようです。


(2)準大陸式

資産等の勘定 → 諸口(前期繰越)

準大陸式については、簿記の原初的なルールどおりであれば、諸口とすべきことになりますが、こちらも前期繰越としている例が多いようです。



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