【簿記一巡】
簿記の目的は、企業の一会計期間の経営成績(損益の状況)及び期末の財政状態(資産・負債・資本の状況)を明らかにすることにあります。

一会計期間中の簿記の手続を大きく分けると次のとおりです。

(1)開始手続 → (2)期中手続 → (3)決算手続


「開始手続」は、会計期間の初めに行う手続です。

英米式(三級で学習したもの)を前提にすれば、開始記入(前期繰越の記入)と再振替仕訳(前期末の経過勘定項目設定時の逆仕訳)からなります。


「期中手続」は、期中における商品の売買、固定資産の売買、経費の支払等のごく一般的な取引の記録です。

この期中手続が、実際の取引量としては、もっとも多いです。


もっとも複雑なのが「決算手続」です。

おおまかには、

(1)決算整理
(2)決算振替
(3)帳簿の締切
(4)繰越試算表の作成


という手順をたどります。



【大陸式と英米式】
今、英米式を前提に話を進めていますが、実際には、これに大陸式が加わります。

結局、帳簿の記録方式には、大陸式簿記法(大陸式決算法)と英米式簿記法(英米式決算法)があります。

「大陸式簿記法」は、仕訳→元帳という手順をきっちりと踏みます。

そのために、実体勘定(貸借対照表の勘定=資産・負債・資本)について、集合勘定としての残高勘定を設けます。

これに対して「英米式簿記法」は、いわば大陸式簿記法の簡便法であり、残高勘定を設けず、帳簿上、直接繰越処理(開始記入と締切記入)を行います。



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