過去2年の簿記論第2問の出題と実務指針との違いがもっともよくあらわれていたのが、平成15年の第2問 問2でした。

問題を実際に解いていただくのがてっとり早いですが、簡単にご紹介しておきましょう。

初見で出題を解きたいと思う方は、読み飛ばしてください。

ただ、過去の出題は、テキスト、問題集等にかなりの程度に反映される傾向がありますので(その意味で初見ではありえない)、むしろ、過去の出題(特に、残留されている試験委員の出題)をじっくりと検討する方がいいというのが、私の考えではあります。


通常、償却原価法の処理は、次のように説明されることが多いと思います。

(定額法)
利払時:現金預金  200 有価証券利息200
決算時:投資有価証券 80 有価証券利息 80

(利息法)
利払時:現金預金  200 有価証券利息300
    投資有価証券100

このような処理のいわばネタ元が「実務指針」といってよいですが、この仕訳は、教える側にとっても都合がいい面があります。

それは、説明がしやすいんです。

(利息法)
利払時:現金預金  200 有価証券利息300 ←この金額が簿価×実効利子率
    投資有価証券100

とやっておくと、実効利子率は、所与でしょうから、案外といけていまいます。

実際の出題では、「国債の評価に係る決算整理の仕訳」が単独で要求されました(解答要求は、金額のみ)。

投資有価証券(   ) ○○○(   )

仕訳としては、投資有価証券100 有価証券利息100 です。

これは、上記のような教え方(解き方)だと、決算日と利払日が同じケースでは、出てこない仕訳ということになります。

という訳で、実際に問題を解いた方は、かなり面くらったのではないでしょうか。


考えてもみれば、利息法と定額法との違いは、計算方法にあります。

違うのは、金額の計算方法なんです。

利息法が原則的方法で、定額法は、あくまでも簡便法であって、本来は、仕訳をいつ行うのか(期中で行うのか、決算整理で行うのか)に違いがある訳ではないでしょう。

しかし、利息法の計算方法からいえば、利払日に一緒にやってしまった方が便利ともいえて、事実、実務指針や通常のテキストでも、そのような処理が紹介されていた訳です。


柴先生の出題は、実務指針や通常のテキスト等でも見過ごされがちであった点をきれいに拾っているというのが過去二年の出題に対する私の印象です。

ただし、解答の箇所は、最後の方なので、この箇所が解答できなくても、十分に合格点はとれるつくりになっています。

このように最後の一線に近いところではありながらも、実務指針よりも本来の簿記処理を問うという点が柴先生の出題の大きな特徴になっているといってよいのではないでしょうか。

これに対するとりあえずの対処は、そのような出題があることを知っておくこと。

これは、ビックリしないで済みます。

そして、より基礎を固めることに尽きるといってよさそうです。


とりあえずの過去問分析は、このくらいにしておきます。

後日、実際の出題を元に、解説もかねて行いたいと思っています。

うまくできるかどうかは、自信がありませんが。