会計基準は、会計の「基準」で、その実施細目が「実務指針」です。

もし、理論と実践という区分けをするなら、会計基準は、理論に近く(純粋な理論と同じではありませんが)、実務指針には、実践的な要素が反映されています。


ちょっと、次の例で考えてみましょう。

売買目的有価証券の処理方法には、洗替方式と切放方式があります。

簿記論の出題としては問題の指示がある筈ということでいいと思います。


税理士試験の簿記論の対処としては、これで十分なのですが、少し考えてみると洗替方式というのは、ちと奇妙です。

売買目的有価証券を時価で評価して、その差額を損益としたなら、別に洗替える必要などないともいえるのではないでしょうか(この点は、低価法採用の場合や資本直入法採用の場合と事情は異なるといえそうです)。

つまり、会計の立場で純粋に理論的に考えれば、別に洗替方式による必要などないのではないかと思えるのです。

しかし、いくつかの理由(実務上の便、税法が洗替方式を採用している)から洗替方式を採用している訳で、これらの理由は、商法・会社法や実務上の理由にすぎず、会計理論を反映したものとは言い難い面があります。


では、実際の規定はどうなっているでしょうか?

ここの考え方(規定の仕方)が、会計基準と実務指針とでは、若干異なっています。

会計基準では、両方式をただあげているだけです。

つまり、両方式に対する原則、例外の違いはありません。

これに対して、実務指針は、洗替方式を原則的方法としてあげています。

実務指針が文字どおり、実務に重きを置いていることは明らかでしょう。


会計基準と実務指針とでは、このような違いがまま見受けられます。

また、実務指針は、財務諸表の監査を前提にしている面がありますので、仕訳処理についても、簿記の理論的な処理を前提にしているとは限りません。


さてさて、このような会計基準と実務指針の違いについて、柴先生はどのような意識をもっておられたのでしょうか。

そして、それは、実際の出題にどのように反映されたでしょうか。

そして、私は(←私かい)それに、どのように対処すればよいのでしょうか。


なぞは深まるばかりです。


つづく(←やめれっちゅうの)。