【過去勤務債務の意味】

「過去勤務債務」とは、退職給与規程が改定される等した場合の退職給付債務の増加(減少)部分をいいます(以下では、増加のケースを想定しています)。

今まで退職給付債務が100円あった。

しかし、退職給与規程の改訂で退職金の支給額が増えて、退職給付債務が120円になったとすれば、この20円部分が、過去勤務債務です。

設定の段階(期首)では、この増加部分は、会計処理に何ら反映されていません。

この会計処理(仕訳)が行われていない部分の過去勤務債務を、「未認識過去勤務債務」といいます。

「認識」は、会計処理が行われていること。

「未認識」は、会計処理が行われていないことです。

未認識過去勤務債務は、発生しちゃってるけど、まだ会計処理(仕訳)として認識されていない過去勤務債務です。

会社上の仕訳処理としては、退職給付債務の増加部分は、次のように認識されます。

(借)退職給付費用100 (貸)退職給付引当金100

この場合、退職給付債務100は、退職給付引当金に反映しています(なお、年金資産等があるため、通常は、退職給付債務と退職給付引当金は、そもそも一致しません)。

仮に年金資産がなかったとしても、未認識過去勤務債務の分だけ退職給付引当金と退職給付債務は一致しないことになります。



【未認識過去勤務債務の会計処理】

(償却開始)発生年

(償却期間)平均残存勤務期間

(償却方法)定額法(残存価額ゼロ)、定率法

(会計処理)退職給付費用××× 退職給付引当金×××

未認識過去勤務債務は、発生年度から、償却を行います。

償却といっても減価償却とは異なり、何もしていない(未認識の)状態から費用処理を行います。

償却の仕訳は、設定の場合と同じです。

(借)退職給付費用×××(貸)退職給付引当金×××

償却期間は、平均残存勤務期間であり、問題に指示される筈です。

また、償却方法としては、定額法(残存価額はゼロ)が一般的だが、定率法の採用も認められているので、問題の指示に従う必要があります。

なお、一括での費用処理(特別損失)も認められています。

問題の指示には、十分注意しましょう。



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