【不渡手形とは】

単に不渡手形というと負(マイナス)のイメージを伴いますが、不渡手形勘定は、資産に属する勘定です。

例えば、Aが約束手形をBに対して振出したとしましょう。

A → B

支払期日にAが手形代金を支払えない。

これが不渡です。

手形が不渡になっても「B」は、その金額の全てを直ちに損する訳ではありません。

「A」に「その代金を支払え」とはいえるのです。

この「B」の「A」に対する権利(求償権)を処理する勘定科目が不渡手形勘定です。



【不渡時の会計処理】

(1)自己の所有する手形が不渡となった場合

不渡手形勘定は、BのAに対する権利を示すものであるからその後の代金請求(求償)に要した費用(支払拒絶証書作成費用、その後の利息等)を含んだ金額が不渡手形の金額になります。

(借)不渡手形××× (貸)受取手形×××


(2)遡及義務を有する手形が不渡となった場合
次のケースはどうでしょうか。

Bは、Aから受け取った約束手形をCに裏書譲渡した。

A → B →C

AがCに期日に手形代金を支払うことができなければ、不渡です。

この場合、CはBに対して、手形代金を請求することができます。

Bが手形代金を支払った場合、これをAに請求できます(支払いの可能性は薄いかもしれませんが)。

その求償権をあらわしたのが不渡手形です。

(借)不渡手形××× (貸)現金預金×××

なお、手形割引・裏書時に保証債務を計上していた場合には、その保証債務を取崩す処理を行います。



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