税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

税理士試験 簿記論 基礎問題

「税理士試験 簿記論 基礎問題」のご案内

本日から、ほぼ毎日、仕訳問題を一問お送りいたします。

復習にお役立てください。

出題は、今のところ春先あたりまでを予定しています。


(出題形式)
基本的に電卓、筆記用具を用いないで解ける問題を用意しました。

そのため金額は、故意に小さくしてあります。

重要性の原則は考慮しないで下さい(例えば、金額の少額な固定資産を購入した場合でも、費用計上しない)。

金額が気になるようであれば、万円単位等に適宜読み替えてください。

もちろん、本試験は電卓、ペンを用いて行う訳ですから、そのような問題(特に時間をはかった総合問題)演習は、別途、必ず行ってください。


(出題範囲)
出題は、あくまでも税理士試験の簿記論受験者(日商二級までの範囲の学習終了者)を想定しています。

実際の試験でも日商二・三級までの知識はとても重要ですが、日商二・三級までの出題が予想される項目の出題は多くありませんので、日商二級までの範囲の未修了者の方は、そちらの学習を優先してください。


(出題意図とそのための工夫−知識の確認)
単純な仕訳問題ですが、目的は、単に解答を導くということではなく、知識の確認にあります。

そのためにやや長めの解説を付しましたので、ご一読いただければ幸いです。

普段の学習でも問題を解いた後に一般的なテキストに戻って確認するのは、とても大事です。

そのような地味な努力が応用力につながっていきます。

そのため、関連事項を記載した日記にいけるようにしておきました。

具体的な問題の解説ではない一般的な記述が、具体的な問題と頭の中でつながるようになればしめたものです。

問題を解いた後にぜひ御一読ください。


(出題意図とそのための工夫−問題文)
実際の試験の文章が読みにくいという話をよく聞きます。

理由はいろいろあると思いますが、これに対処するために問題文は、通常の問題集よりも凝ったものにしました。

また、必ずしも文章表現等を統一していません。


(許容勘定科目等)
解答に関して許容勘定科目を付しましたが、これはあくまでも皆さんが行った仕訳が正解かどうかを判断するためのもので、許容勘定科目そのものを覚えなければならない訳ではありません。

仕訳で使用する勘定科目は、税理士試験関連の書籍等で比較的多く用いられているものを使用するようにしています。


(ご質問等の受付)
問題に関するご質問等がございましたら、匿名でかまいませんので、過去の問題であっても該当する問題のコメント欄にお願いいたします。

文章という名のハードル

文章力(国語力といってもよい)が、簿記の出来、不出来に影響するかといえば、私はかなりの程度で影響すると思う。

おおざっぱな印象でいえば、簿記以外の国語力で10点や20点は違うのではないだろうか(あくまでも答練ではなく、本試験の話である)。

とはいえその点数の開きを埋めるような国語力はそう簡単には身につかないし、簿記の指導に小説を読んだり、作文を取り入れる訳にもいかない。

そもそも付け焼刃の指導で、それほどの効果が見込めるとも思えない。

それでも私は、簿記以外の本を読むことが「簿記にとって」ムダだとも思わないし、例えばブログで日々あった出来事を記録する事や新聞の社説か、コラムあたりをまとめるなんてのも実は有効ではないかとすら思っている(簿記一科目に限った対時間効果は低いが)。



簿記の具体的な指導でも文章は大事にしたい。

もちろん理解の過程で、図や表といったビュジュアルを用いることも大事である。
理解なしの記憶では、定着率が低すぎる。

それを反復でこなすには、「簿記論」一科目といえども膨大な時間が必要であろう。

簿記の学習上、ビジュアルが不要という訳では、もちろんないのはわかっている。

しかし、結局、問題は、文章で出題される。

実際の試験では、状況を図解してくれることもないし、普段は、表形式で整理されているものが、文章で出されたりもする。

問題を読み解くには、文章の力が不可欠なのだ。

普段の学習で余りにビジュアルにたより過ぎると実際の試験(専門学校の答練ではない。

本試験である)での「文章のハードル」はより高くなってしまうのではないだろうか。

しかし、そのために別途の時間を割くことができないならば、せめてテキストや普段解く問題、そしてこのブログくらいはしっかりと読みたい(ほりょ)。

このブログがほぼ文章のみで構成されているのは、決して管理者のパソコンスキルの問題ではない(ほーっ)。

このブログには、このような深い意図が背後に隠されているのである。多分(た、多分かい)。

(※)二勘定制採用の理由

(※)現在では、二勘定制採用の意義は薄れました。記事内容は、会社法施行(平成18年)以前のものです。


【二勘定制採用の理由】

利益処分の会計処理には、「一勘定制」と「二勘定制」とがあります。

仕訳処理を並べてみるとよくわかりますが、二勘定制は、なんだか面倒くさいです。

面倒な上に、勘定記入を眺めてみると、なんだか不思議な感じがします。

では、何故この面倒で、不思議な二勘定制が存在するのでしょうか?

二勘定制による未処分利益勘定の記入例を眺めてみてください(ちゃんとした勘定は書けません)。

何かと順序が似ています。

そう、損益計算書の末尾です。

損益計算書の末尾は、当期純利益+前期繰越利益=当期未処分利益 です。

このことを念頭において、勘定記入を眺めてみましょう。

先の例と同じ前提で、それぞれの第2期の未処分利益勘定は、次のようになります。

(一勘定制)
     未処分利益
未払配当金40 前期繰越100
次期繰越160 損  益100
    200     200

(二勘定制)
     未処分利益
未払配当金40 前期繰越100
繰越利益 60 損  益100
次期繰越160 繰越利益 60
    260     260

二勘定制の勘定記入を眺めると相手勘定の繰越利益が貸借の両側にきて、なんか妙な感じがします。

しかし、貸方の損益100の前で貸借は平均し、残高がゼロになっています。

二勘定制のその後の計算は、当期の利益100+前期利益60=160 と損益計算書の末尾と同じイメージになっていることがわかります。

これに対して一勘定制は、前期利益40+当期の利益100=160 というイメージになっていることがわかります。

このように、二勘定制採用の理由は、勘定記入面を損益計算書のイメージにあわせるためにあるといってよいでしょう(でも一勘定でいいのではと思うのは私だけでしょうか)。

試験では、両方を視野に入れる必要があると思います。



【関連記事】
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剰余金の処分の会計処理

【剰余金の処分の会計処理】

設立第1期 純利益100 配当40
設立第2期 純利益100 配当40

定時株主総会で剰余金を処分する前提で仕訳処理を示しましょう。

なお、利益準備金の積立は無視します。

第1期
(決算時)損     益100 繰越利益剰余金100

第2期
(総会時)繰越利益剰余金 40 未払配当金   40
(決算時)損     益100 繰越利益剰余金100

第3期
(総会時)繰越利益剰余金 40 未払配当金   40



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会社負担の社会保険料

【会社負担の社会保険料】

検定試験ではさほど出題実績のない項目の一つに社会保険料があります。

税理士試験の第3問は、実務家の出題で、やや実務的な項目が出題される傾向があります。

それほどメイン項目ではありませんが、簡単な処理はおさえておきましょう。

実務に携わっている人は、それほど違和感を感じないでしょうが、実務未経験の方は、初めてかもしれません。

社会保険料(健康保険料及び厚生年金保険料)は、従業員と会社負担が同額で、従業員負担分は、給料支払時に天引きします(預り金勘定で処理)。

会社負担の社会保険料は、「法定福利費勘定」で処理されます(福利厚生費もセーフでしょうか)。

なお、預り金勘定は、社会保険料預り金勘定等が用いられる場合もあります。



【社会保険料の会計処理】
(社会保険料預時の処理……給料日)
(借)給  料×××(貸)現金預金×××
             預 り 金100

(社会保険料納付時の処理……その月末)
(借)預 り 金 100(貸)現金預金200
   法定福利費100


【関連記事】
売掛金と未収金



債権債務・手形<目次>

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(※)損益計算書の末尾

(※)現在の損益計算書の最終値は、「当期純利益」です。
以下の記事は、会社法施行(平成18年)以前の内容にです。


現行制度上の損益計算書は、純粋な意味での「当期の損益」の計算書ではありません。
当期純利益より下は、事実上は、「利益処分」です。
この点が理解しにくいので、とりあえずは記憶してしまいたい所でしょう。
重要性は、簿記論でも高いといえます。


【損益計算書の末尾】

税引前当期純利益
法人税等(法人税、住民税及び事業税)
当期純利益
前期繰越利益
中間配当額
利益準備金積立額
当期未処分利益

当期純利益までは、かろうじて「当期の損益」を計算しています。
しかし、その下以後は、「当期の損益」とは、かかわりがありません。
計算しているのは当期未処分利益(「株主総会で処分の対象となる利益」)です。
このあたりは、なかなか実感がわかないところですが、いつかはきっとという気持ちで接するようにしましょう。

【関連記事】
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一勘定制と二勘定制
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間違いノート

間違えた内容を簡単にでもまとめておくことは、極めて有効です。

残念ながら私は作成していませんでしたが、それはその効果を疑ってではありません。

単純に不精なだけです(日記ですら三日坊主なのに、あれ、ブログは)。


成績優秀な方の間違いノートは美的でさえあります。

そんなノートにあこがれながらも、私の場合は、間違えたときに、テキストやまとめの類に色つきのボールペンでアンダーラインを引くか、書き込むあたりに落ち着きました。

もっとも個別問題を解いているあたりで、これをやっているとテキストが真っ赤か(私の場合は緑一色)になってしまうので、総合問題や月一の試験や模試といったあたりでつくるのがいいかもしれません。

とにかく間違えた箇所を把握して、それを見返す機会を作ることが重要だと思います。


間違いノートやカードを作るのもいいでしょう。

テキストに印をするのもいいと思います。

ただ、問題の解答や解説に印をするのは、あまり感心しません。

間違えた問題を持ち歩くならともかく、通常は、もう一度その問題を解かない限り、解答・解説も見ないからです。

コピーしてノートに貼る・挟むなんてのは、いいかもしれません。

間違いノートやテキストは、普段持ち歩くのがいいです。

そして時々見返す。

効果は、極めて高いです。


ただし、これらが単なる作業になってしまってはもったいないでしょう。

間違いノートをつくることそのものが目的ではありません。

間違えた箇所を把握し、対策に役立てることが目的なのです。


皆さんは、どのような工夫をなさっているでしょうか。

未実現利益控除法

【未実現利益控除法とは】
「未実現利益控除法」とは、期中は販売基準と同様に処理し、決算で利益の調整を行い、回収基準と同様の利益を計上する方法です。

収益の認識基準という意味合いは、収益を計上すべきタイミングの話で、この点をとらえれば、対照勘定法が合理性を持ちそうです。

しかし、対照勘定法は、一言でいうと面倒くさいです。

そこで期中の処理は、販売基準と同様に行い決算整理で利益のみで帳尻を合わせる方法、未実現利益控除法(修正販売基準等とも呼ばれる)が採用されます。



【会計処理】

対照勘定法と同じ事例で考えてみましょう。

原価80 売価100 支払回数5回

引渡時:(借)割賦売掛金100 (貸)割賦売上 100
回収時:(借)現金預金  20 (貸)割賦売掛金 20

今ここで決算をむかえたとすると、仕入(売上原価)80(これはすでに計上されている)という費用と割賦売上という収益100が残っています。

この差引で利益を計算すると100−80=20 となります。

これは販売基準の場合の利益です。

これを回収基準による利益に直すためには、未回収部分の利益を控除すればよいでしょう。

(借)繰延割賦売上利益控除16 (貸)繰延割賦売上利益16

未回収の割賦売掛金80×利益率(20/100)=16

今、決算整理前の利益は20(100−80)だったので、ここから16を引くと、利益は4です。

対照勘定法を採用した場合と同様になることを確認しましょう。

回収基準同様、一度でいいので納得したいところではないでしょうか。



【繰延割賦売上利益の意味】

なお、細かい話ですが、この場合の繰延割賦売上利益控除は、利益の調整項目(利益のマイナス)を意味し、繰延割賦売上利益は、割賦売掛金に対する控除的な評価勘定(または繰延べられた利益)の意味を持ちます。



【関連記事】
割賦販売の収益認識基準
対照勘定法
未実現利益控除法・戻入
ボックス図による整理
貸倒れの処理・未実現利益控除法
貸倒れの処理・対照勘定法



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対照勘定法

【対照勘定法の意義と会計処理】

対照勘定法は、商品を相手に引渡したときに、対照勘定によるメモ的な記録を行う方法です。

対照勘定としては、「割賦未収金」と「割賦仮売上」等の組み合わせがあります。

割賦代金の入金があった時点で対照勘定による備忘記録を取り消し(引渡時の逆仕訳)、割賦売上を計上します。

対照勘定はあくまでもメモ的な備忘記録にすぎませんので、必要以上に勘定科目名にこだわる必要はありません。


(例)原価80 売価100 支払回数5回

引渡時:(借)割賦未収金100 (貸)割賦仮売上100
回収時:(借)現金    20    割賦売上  20
       割賦仮売上 20 (貸)割賦未収金 20



【決算時の会計処理】
今ここで決算をむかえたとすると、仕入(売上原価)80(これはすでに計上されています)という費用と割賦売上という収益20が残っています。

この差引で利益を計算すると20−80=△60 で損失が出てしまいます。

これはおかしいです。

どこがおかしいのかというと、仕入(売上原価)が多すぎるのです。

収益を回収部分しか計上しないのなら、売上原価もそれに見合う金額しか計上してはいけません。

具体的には、未回収分に対応する原価を仕入から控除し、資産(繰越商品)として計上します。

対照勘定の残高が未回収金額になりますので、対照勘定残高に原価率をかけると期末(割賦)商品の金額が算出できます。

決算時:(借)繰越(割賦)商品64 (貸)仕  入64

金額は、未回収額80×原価率(80/100)=64 です。

この仕訳の意味合いは、三分割法採用時の決算整理仕訳、

(借)仕  入××× (貸)繰越商品××× ←期首
(借)繰越商品××× (貸)仕  入××× ←期末

の二行目の仕訳と全く同じです。
一度でいいのでじっくりと納得したいところでしょう。



【関連記事】
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ボックス図による整理
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剰余金の処分の意味

【企業目的と簿記の目的】

企業と家計の違いは、営利目的か否かにあります。

企業活動の主目的は利益の獲得です。

企業活動をとらえる企業簿記も利益の計算(損益計算)に主眼が置かれます。

典型的な株式会社企業を想定すれば、企業は、株主から資金を募り、その資金で企業活動を行い、その成果たる利益を株主に配当という形で還元します。

この一連の流れを、仕訳で確認しておきましょう。

期中:
(借)現  金150 (貸)収  益150
   費  用100    現  金100

決算:
(借)収  益150 (貸)損  益150
   損  益100    費  用100
   損  益 50    繰越利益剰余金50

株主総会:
(借)繰越利益剰余金50 (貸)未払配当金50

配当支払時:
(借)未払配当金50 (貸)現  金 50

収益・費用 → 損益 → 繰越利益剰余金 → 未払配当金 →現金(の減)

このような流れをまずは実感して欲しいと思います。

個々の仕訳を覚えるだけだと後で苦しくなりますので、流れでおさえたいところです。



【関連記事】
(※)一勘定制と二勘定制
(※)二勘定制採用の理由
(※)損益計算書の末尾
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