税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

「ばっかり食べ」と「ばっかり解き」

食事をする時にご飯ならご飯、おかずならおかずという具合に同じものばかりを続けて食べる食べ方を「ばっかり食べ」と言うらしい。
おかずを食べてはご飯、ご飯を食べたらおかずにいきつつ味噌汁、なんてのが、日本人かと思っていたが、最近はそうともいえないようだ。
カツ丼のカツだけを先に食べ、後で残ったご飯だけを食べる。
そんな食べ方をする若者も少なからずいるらしい。
「ばっかり食べ」を解消するための「三角食べ」という必殺技もあるそうだ。
まあ、口の中にいれてしまえば、結局は同じだろうから健康に影響があることはないだろうが、日本の食文化が急激に変りつつあるというのは、事実なのかもしれない。

「ばっかり食べ」の良否の判断は、ひとまず置くとして、簿記の問題を解く場合はどうだろうか。
同じ分野の問題を続けて解く「ばっかり解き」は、実は、かなり効率がいい。
特に基礎的な講義の後や苦手項目について、この「ばっかり解き」を意識して行う効果は小さくない。
ただ、効率のいい「ばっかり解き」というのは、学習の進度等の個別事情によっても異なるといってよい。
苦手意識のある項目は、同じ「ような」問題ではなく、「同じ」問題を解く必要もあるだろう。
答えを覚えてしまうほど解いてもしっくりしない問題については、別の「何か」が欠けている可能性が高い。
その「何か」を浮き立たせてくれることと短期間で繰り返すことによる定着が「ばっかり解き」の効用ではないかと思う。

有形固定資産と減価償却

【有形固定資産の意味】

(1)有形固定資産とは

棚卸資産(商品等)は販売目的の資産です。

固定資産は使用目的の資産です。

使用目的の有形資産が、有形固定資産です。


棚卸資産   → 「販売」目的の資産

有形固定資産 → 「使用」目的の資産



(2)棚卸資産との違い

同様に土地といっても販売目的で保有する土地は、棚卸資産であり、使用目的で保有する土地は、固定資産です。

これらの資産を取得した場合に、前者は三割法を前提とすれば仕入勘定で処理され、後者は土地勘定で処理されます。

使用目的の土地 → 土地勘定

販売目的の土地 → 仕入勘定


(3)購入代金の未払

購入代金が未払いの場合は、これに応じて、買掛金勘定、未払金勘定を使い分ける必要があります。

基本中の基本ですが、やや異なる趣向での出題時にも対処できるようにしておきましょう。


【減価償却の意味】
(1)減価償却とは
有形固定資産は、使用目的の(有形)資産です。
有形固定資産の取得原価を使用期間(耐用年数)に配分する手続きを減価償却といいます。

(2)減価償却方法
1.定額法
2.定率法
3.級数法
4.生産高比例法


【関連記事】
定額法の償却率
直接法と間接法
減価償却関連の推定の意味
有形固定資産の取得原価
高額下取
火災損失
級数法
臨時償却
償却方法の変更
資本的支出と修繕費



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独学か、通信・通学か

税理士試験における「一般論」としては、簿記論・財務諸表論での独学は可能で、税法科目での独学は厳しいといったところでしょうか(あくまでも一般論です)。



一番大きな理由は、適当なテキストがないという点かもしれません。

試験向きのテキストがない場合、あまりにも学習上のムダが多い気がします。

この意味では、通信にも意味はあるでしょう。

もっとも私の場合には、「通信」と名のつくものは、続いたためしがありません(残念)。



どちらがよりベストかという判断は可能性とは別に考えるべきでしょう。

通学のメリットは、なんといってもモチベーションの維持にあると思います。



独学が可能であるかの一つの基準は、それなりの方法論をもっていることではないかと思います。

独学で補正がきかないのは、「知識」ではなく、むしろ「方法」ではないでしょうか。

通学では、講師の話を聞き、周囲の受験生の学習のスタイル等をみることができます。

これも通学での大きなメリットでしょう。

しっかりとした知識を身につける「方法」があるか、または、その「方法」を模索することをいとわないのでなければ、独学は恐ろしい程の遠回りになる可能性があると思います。



独学でいくにしろ、通信・通学を選択するにしろ、最初のスタイルを貫くというのもいいのかもしれませんが、ダメなら変えてみるって感じでもよいのではないかと思います。

手形割引の会計処理

金融商品会計基準の導入により手形割引の会計処理に変更があった。

とりあえず、結論のみを記せば、次のような会計処理が一般的といってよい。

この処理は、実務指針の設例16にあげられている。


現金預金   ××× 受取手形×××
手形売却損  ×××
保証債務費用 ××× 保証債務×××
(手形売却損)×××


この処理を次の三つの要素に分けて考えてみたい。

(1)(貸方)受取手形

(2)(借方)手形売却損

(3)偶発債務の処理


まずは、(1)の(貸方)受取手形である。

金融商品会計基準では、権利の行使・喪失・移転にかかわらしめて、金融資産の消滅の認識(要は、貸方・金融資産)を行うこととした。

手形の割引は法的には、手形債権の譲渡(移転)であり、金融商品会計基準に照らしても、金融資産の消滅の認識の会計処理を行うべきことになる。

ただし、この点に関しては、必ずしも「金融商品会計基準の導入による変更」とは言い難い。

従来の会計処理でも受取手形勘定は減額させており、貸借対照表の表示も同様である。

一見、変更があったかに感じられるのは、(3)の偶発債務との関係で、受取手形勘定を直接減額させない会計処理が存在していたに過ぎず、実質的な変更ではないのである。



実質的な変更があったのは、(2)の手形売却損である。

従来の会計処理では、この部分は、支払割引料とするのが一般的であった。

これは、従来的に、手形割引を資金取引(借入取引)と考えており、割引料を借入金に対する利息の性格を有するものとみていたためである。

つまり、従来は、同一取引を資産売却と資金取引という二つの異なる考え方に基づいて処理していたのである。

この矛盾を解消すべく手形売却を資産売却取引として一貫して捉えるという点が新しい会計処理の特徴である。

しかし、手形割引が法的には、資産の譲渡であったとしても、経済的にみて、これを単なる固定資産等の売却取引と同視することはできない。

むしろ、当事者間においても、資金取引と考えているのが一般的といってよいだろう。

現在でも、資金取引として一貫して捉えるべきとの考え方もある。

また、現実的にも割引料の本質は、少なくとも金融機関の側では、まさに金利そのものと認識されている筈である。

この点を考慮してか、現在でもむしろ「支払割引料」を使うべきとの考えもある。

このように新しい会計処理がすっきりしない原因は、当初の手形取引の段階で金利部分を分別処理しない(できない?)ことに最大の原因があるというべきである。



金融商品会計基準におけるもう一つの特徴的な取扱いが(3)の偶発債務の処理である。

これは、金融資産の消滅の認識(貸方・金融資産)における権利の移転に関する考え方に、財務構成要素アプローチを採用したことにより生じた取扱いといってよいだろう。

財務構成要素アプローチとは、いわば金融資産の消滅の認識をバラバラに行う考え方である。

それまでは、全部移転を前提とするリスク・経済価値アプローチがとられていた。

現実の手形割引の法的な実態は、買戻条件付の売却に近く、手形債権は消滅するものの、新たに(一定の条件のもとでの)手形買戻義務(偶発債務)が生ずる。

単独の手形債権が、(+)手形債権と(−)買戻義務に分離され、手形債権は相手に移転して、買戻義務は自分に残るという感じであろうか。

もちろん、実際に手形を所有しつづければ、買戻義務は生じない訳であるから、この買戻義務は、手形割引取引によってあらたに生じたものである。



この買戻義務を負債として、時価計上したもの、これが保証債務である。

もっとも保証債務の時価の算定は、容易ではなく、現実的には、計上に足らずとして計上しないか、貸倒引当金の設定に準じた計上が行われることになるのであろう。

金融商品会計基準によれば、金融負債の貸借対照表価額は、債務額とされていることから、保証債務の時価による評価換えは想定されていないといえるだろう。



【関連記事】
手形割引の会計処理(1)〜(10)



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有価証券の増加を記録するタイミング

【有価証券の増加時点】

有価証券の増加を記録するタイミングは、引渡しを受けた時点ではありません。

売買契約の時点です。

金融資産(有価証券等)の発生の認識(要は、借方・有価証券)の時期は、契約締結(約定)時です。

通常の株式等の売買(証券会社を通じた売買)では、契約の締結(約定)から現物の受渡しまでに数日を要します。

従来は、商品等と同様に現物の引渡しを受けた段階で、有価証券の増加を認識しました。

金融商品会計基準の導入により原則として、契約締結時に仕訳処理を行う必要があります。

この場合の相手科目は、未払金です。

増加を認識した以上、当然に期末評価を要する有価証券であれば、期末評価を行います。

もっとも、契約締結から受渡しまでが、長期にわたる取引を個別に締結した場合は、現物の引渡時点です。


【具体的会計処理】
(1)購入契約締結(約定)
(借)有価証券×××(貸)未 払 金×××

(2)代金決済
(借)未 払 金×××(貸)現金預金×××


【手数料の取扱】
なお、取得に係る手数料は当然に取得価額に含まれますが、期末評価の段階では手数料を加味しません(実務指針56)。
売買目的有価証券であれば、取得代価と期末時価が同一でも取得手数料部分が評価損となります。


【関連記事】
洗替処理と切放処理
有価証券利息
有価証券の勘定科目
償却原価法
定額法と利息法
純資産直入法とは何か
部分純資産直入法
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有価証券の評価指標と評価差額の取扱い
保有目的区分の変更の取扱い
保有目的の変更の会計処理
有価証券の差入等



有価証券<目次>

テキスト記事一覧

一勘定制と二勘定制

【当座借越】
企業は、金融機関と「当座借越契約」を結び、当座預金の残高ナシでも、その契約上の限度額まで引出ができます。

当座預金勘定は、マイナス残になりますが、「(短期)借入金」です。

なお、当座借越契約を結んだだけでは簿記上の取引(資産・負債・資本の増減を生む出来事)ではなく、仕訳は不要です。


【一勘定制と二勘定制】
当座借越の処理方法には、一勘定制(当座勘定)と二勘定制(当座預金勘定と当座借越勘定)があります。

例をあげましょう(当座預金残高100、200の当座借越契約)

(1)一勘定制
契約:仕訳なし
引出:(借)買掛金150 (貸)当  座150
預入:(借)当 座200 (貸)売 掛 金200

(2)二勘定制
契約:仕訳なし
引出:(借)買 掛 金150 (貸)当座預金100
                 当座借越 50
預入:(借)当座預金150 (貸)売 掛 金200   
      当座借越 50


【当座預金のマイナス残がある場合】
複数の当座預金口座がある場合に、一勘定制を採用していると、当座預金勘定がプラスでも、個別の口座がマイナス残のときに注意が必要です。

マイナス残は、(短期)借入金勘定に振り替える必要があります。

修正仕訳:(借)当  座××× (貸)借 入 金×××

実務的には、ほとんど一勘定制ではないかと思います。

単純に二勘定制が面倒だという理由でしょう。

しかし、プラス(資産)とマイナス(負債)が一つの勘定に混在するのは、理論上、好ましくありません。

二勘定制が理論的で、一勘定制が実践的(実務的)といえます。

検定試験などの出題では、理論的な二勘定制の出題も少なくありません。

仮に一勘定制を採用する場合でも、勘定科目は、当座勘定を用いる場合が多いのは、「当座預金」という明らかに資産に属する勘定科目で、マイナス残高はまずいという理由だろうと思います。

実務的には、「当座預金勘定」を用いた一勘定制が多いように思います。


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先日付小切手

【先日付小切手】
「先日付小切手」は、実際の作成・交付日よりも先の日付が記載された小切手ですす。

例えば、4月1日に小切手を作って、相手に渡す。

その日付が4月30日などという小切手が「先日付小切手」です。

通常、他人振出しの小切手を受け取った場合は、現金勘定で処理します。

これに対して「先日付小切手」は、受取手形(受取先日付小切手)勘定で処理します。


【取扱いの理由】
他人が振出した小切手を金融機関に持ち込めば換金できます。

ので、簿記上は、現金勘定で処理されます。

このことは、先日付小切手の場合も異なりません。

しかし、先の日付で小切手を作成し、相手も了解してその小切手を渡す以上、相手先は、その小切手を換金しないでしょう。

換金しても法律違反ではありませんが、それ以前の約束違反です。

小切手と手形の大きな違いは、期日(満期)の有無にあります。

本来、期日(期間)という考えのない小切手に、当事者間で勝手にその考えを持ち込むのですから、その性格は、期日を前提とする手形により近くなります。

そのため、先日付小切手は、簿記上は、その実質を考え、受取手形(受取先日付小切手)勘定で処理されます。

簿記では、形式よりも実質が優先される場合が多いんですね。


【関連記事】
現金の範囲



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現金の範囲(配当金領収証)

【配当金領収証】
自分が簿記を学んでいた当初、配当金領収証がピンときませんでした。

何故、領収証が現金なんだ?

と不思議でした。

ただ、自分で株式を買って仕組みがわかるとなーんだという感じです。

その配当金領収証に判子を押して、銀行にもっていけば、現金になります。

先に現金で処理することにそれほどの違和感はありません。



【現金の範囲】
簿記上、現金勘定で処理されるのは、通貨(硬貨・貨幣)に限られません。

実質的に現金と変らないものも現金勘定で処理します。

(1)通貨

(2)通貨代用証券
他人振出の小切手
配当金領収証
公社債の利札
法人税等還付通知書(官公庁支払命令書)
送金小切手
送金為替手形
預金手形
郵便為替証書

配当金領収証や期限の到来した公社債の利札は現金勘定で処理されます。

他人振出の小切手、法人税等還付通知書あたりは、まだいいとしても、

送金小切手、送金為替手形、預金手形、郵便為替証書あたりになってくると、万が一出題された場合の保険で覚えておく感じでよいかもしれません。


【関連記事】
先日付小切手
貯蔵品

(参照記事)
配当金領収証の実際の利用状況等につきましては、下記記事のコメント欄にいただいたコメントが参考になると思います。
講師だって教えて欲しい!!(配当金領収証)


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簿記一巡の手続考

【簿記一巡】
簿記一巡の手続は、次のような手順で行います。


(1)開始 → (2)期中 → (3)決算(整理+振替)


これを手続の対象となる取引に着目すると、次のように区分できます。


期中      → 対外的取引

決算整理    → 損益(財産)の整理

開始、決算振替 → 形式的


「期中」は、相手のいる実際の取引。

「決算整理」は、相手はいないけど、実際に損益や財産に影響する取引。

「開始、決算振替」は、あくまでも簿記の手続上で必要な形式的手続です。



【簿記一巡の手続考】
相手の存在する対外的取引(「期中取引」)は、実際に資産・負債科目が動く場合が多いので、比較的、わかりやすいと思います。

問題で頻繁に問われるのが「決算整理」です。

よく出題される分、学習の比重も置かれます。

ここから抜け落ちるのが、「開始手続」と「決算振替手続」です。

いずれも相手が存在したり、損益等を確定させるための手続ではなく、わかりにくいです。

これらが「形式的」な手続であることを把握していないと、何のためにやっているのか?がわかりにくく、苦手意識を持ちやすいと思います。

「開始手続」は、英米式を前提とすれば、開始記入(前期繰越の記録)と再振替仕訳からなりますが、帳簿組織の学習の際には、重要性は高いといえます。

もっともわかりにくいのが、「決算振替」でしょう。

決算振替は、「損益振替」(収益費用勘定の損益勘定への振替)と「資本振替」(損益勘定の資本勘定への振替)からなります。

個人企業における資本振替の相手勘定は、「繰越利益剰余金」ではなく、「資本金」勘定であることには充分注意しましょう。



【関連記事】
簿記一巡の手続
損益振替と資本振替


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勘定科目と表示科目

【勘定科目と表示科目】
仕訳で用いられる科目が「勘定科目」です。

損益計算書や貸借対照表で用いられる科目が「表示科目」です。

税理士試験の簿記論では、財務諸表論ほど意識する必要はありませんが、両者は明確に区別しましょう。


勘定科目……仕訳→元帳→試算表

表示科目……財務諸表(損益計算書、貸借対照表等)


元帳の記録を集約したのが試算表です。

試算表で用いるのは、「勘定科目」です。

試算表が資料として与えられ、部分的な仕訳が要求されたら試算表の科目(勘定科目)を使います。

損益計算書や貸借対照表で使うのは、「表示科目」です。

勘定科目ではありません。

精算表における損益計算書欄、貸借対照欄は、スタートが試算表であるため、「表示科目」ではなく、「勘定科目」です。

総合問題の一部で仕訳が要求される場合は、「勘定科目」を使用する点に注意しましょう。


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