税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

定額法の償却率

【定額法の計算】
固定資産の取得原価を利用可能期間に配分する手続が減価償却です。

減価償却の方法には、定額法、定率法等がありますが、税理士試験の出題で留意したいのが、定額法の計算で率を乗ずることがある点です。

定率法は、期首未償却残額に償却率を乗じて、減価償却費を計算します。

定額法は、通常、取得原価から残存価額を控除した金額を耐用年数で割って計算します。

簡単な例で確認しておきましょう。

取得原価 100円、耐用年数10年、残存価額10%(10円)の備品を当期首に取得した場合、定額法の計算は、

(取得原価100−残存価額10)÷耐用年数10年=9円 です。

これが、

取得原価 100円、償却率10%、残存価額10%(10円)の備品を当期首に取得という形で出題されたとすると、この場合の計算は、

(取得原価100−残存価額10)×償却率10%=9円 です。

もちろんこの償却率は、1÷10年=0.1ですが、定率法の計算と異なり、残存価額を控除した金額に償却率を乗ずる点にはくれぐれも注意しましょう。

このような計算を行うことがあるのは、定額法での償却(限度)額を率により計算する税法の影響で、他の検定試験や国家試験にはない税理士試験固有の点といってよいと思います(たぶん)。



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銀行勘定調整表

【銀行勘定調整表】
「銀行勘定調整表」は法令等で形式が決められているわけではありません。

作成すること自体も企業の任意です。

企業残高と銀行残高との不一致の原因がはっきりしてさえいればよいです。

もっと端的にいえば別に表形式にする必要もありません。

もちろん試験で出題されるとすれば表形式でしょうが。


作成の義務付けがない表の摘要に書かなければならない事も決まっていません。

ある程度一般化している項目の名前(未取付小切手、未渡小切手等)はおさえた方がいいでしょう。

仮に何かを記入することを求められたとしても、考えることに時間をとられるなら、問題の文章をそのまま抜粋して書いておけばよいでしょう。

決算整理を考えれば両者(銀行残と企業残)の調整法(とくに企業側の修正)をおさえることが大事で、不一致原因の呼称にとらわれる必要はありません。



【不一致原因】
(1)時間外預入 (銀行残にプラス) ……仕訳なし
(2)未取付小切手(銀行残をマイナス)……仕訳なし
(3)未渡小切手 (企業残にプラス) ……当座預金××× 未払金等×××
(4)振込未記帳 (企業残にプラス) ……当座預金××× 売掛金等×××
(5)引落未記帳 (企業残をマイナス)……○○○○××× 当座預金×××
(6)未取立小切手(銀行残にプラス) ……仕訳なし


【銀行勘定調整表の形式】
(1)両者調整法
(2)企業残高基準法
(3)銀行残高基準法


【関連記事】
銀行勘定調整表
銀行勘定調整表の作成方法
銀行勘定調整表の摘要欄



現金預金<目次>

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返品・値引・割戻・割引

【返品・値引・割戻・割引の意義】

極めて基本的事項ですが、細心の注意を払うべきです。

いずれも仕入ないしは売上代金の減額ですが、簡単な内容はおさえましょう。

(意義)
返品……取引の取消
値引……キズ等
割戻……量
割引……期間


【返品・値引・割戻・割引の取扱い】

「返品・値引・割戻」は仕入・売上の控除項目です。

「割引」は、利息の性格を有するものとして仕入割引(営業外収益)、売上割引(営業外費用)とされます。

(取扱い)
返品、値引・割戻……売上・仕入から控除
割引……………………営業外収益(仕入割引)、営業外費用(売上割引)


【原価率算定上の取扱い】
(取扱い)
売上返品……売上から控除
売上値引……売上から控除しない(控除してあれば加算)
売上割戻…… 同上
売上割引……影響しない
仕入返品……仕入から控除
仕入値引…… 同上
仕入割戻…… 同上
仕入割引……影響しない


【売上値引・割戻を控除しない理由】

原価率の算定上の取扱いは、返品、割引はそれぞれ会計処理と同一ですが、値引・割戻の取扱いが異なります。

仕入値引・割戻は、会計処理と同一です。

しかし、売上値引・割戻は、これを控除しないで原価率を算出する必要があります。

これは簿記の出題(推定簿記一般)で出さなければならない原価率が「当初の原価率」(予定原価率)のためだからです。

(例)原価80円の商品を100円で販売

もちろん想定される原価率は80%です。

その後に5円の売上値引を行ったとしましょう。

仕訳処理を並べれば、次のようになります。

(借)仕 入 80 (貸)買掛金 80
(借)売掛金100 (貸)売 上100
(借)売 上  5 (貸)売掛金  5

この段階での売上勘定残は、95円で、仕入勘定残(=売上原価)は80円です。

通常は、問題自体がここからスタートします。

ここから当初の原価率80%を出すには、

売上原価80÷(売上95+売上値引5)=80%

という計算をしなければなりません。

売上値引・割戻が、原価率算定上、加算されることの意味をしっかり確認しておきましょう。



【関連記事】
売上原価の意味
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総記法(※)
総記法の決算整理(※)
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ペース配分

税理士試験は、年に1度実施されます。

学習期間も長期にわたるのが通常です。

短期間ならいざしらず、学習期間が長期にわたる場合は、そのペース配分が重要になるでしょう。

間違えても、ブログ開設当初から三連投を続けるヒマな税理士試験の簿記講師をやっている税理士の愚を繰り返してはなりません(ほへ)。


もちろん、調子にのったときに学習を止める必要はないが、過剰なノルマを課して、急減速するよりは、ゆっくりと入って、徐々にペースを上げていく方が、よい結果につながることは多いのではないかと思います。

もちろん、何事にも、絶対はないでしょう。

ただ、その事を意識して、管理できる方が、合格には近いといえそうです。

売上原価の意味

【売上原価の意味】

売上原価とは、商業でいえば、「売れた商品を買った値段」です。

具体的には、「期首商品棚卸高+当期商品仕入高−期末商品棚卸高」で計算されます。

三分割法では、商品の仕入段階で費用(仕入)計上しているのみなので、決算整理を要します。

原価率の算定等でもいわゆるボックス図を書くことは多いでしょう。

この図と勘定記入、上記算式、決算整理が頭の中でリンクしているかを確認しておく必要があります。

売上原価の意味は、極めて重要です。

単に、決算整理仕訳ができればよいという訳ではありません。

では、何が重要なのかを一言で言い尽くすことを求めてはいけません。

一言で納得してしまう事で逆に見えなくなることは小さくはないでしょう。

なお、決算整理前の仕入勘定残は、当期の純仕入を意味し、決算整理後の仕入勘定残は、売上原価を意味しています。

わかっているつもりでも決算整理後の仕入勘定に当期純仕入高を書いてしまうミスをおかしやすいので充分注意しましょう。



【関連記事】
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払出単価の決定方法
期末商品棚卸高



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債権の種類と貸倒見積高の算定

【債権の種類】

金融商品会計基準では、債権を、「一般債権」、「貸倒懸念債権」、「破産更生債権等」の三種に区分し、それぞれに応じた貸倒見積高の算出方法を定めています。

なお、この三区分は、あくまでも貸倒見積高の算出上の区分で、必ずしも勘定科目との連動性はありません。

あえていえば、破産更生債権等は、これを「破産更生債権等」勘定への振替えを要求する場合が多く、また、「不渡手形」という勘定科目が用いられることもあります。


(1)一般債権(ふつうの債権)

経営状態に「重大な問題が生じていない」債務者に対する債権

(2)貸倒懸念債権(やや危ない債権)

債務の弁済に「重大な問題が生じている」(その可能性の高い)債務者に対する債権

(3)破産更生債権等(破綻債権)

「経営破綻」に陥っている債権

(破産、会社更生、民事再生、会社整理、特別清算、2度目の不渡等)



【債権の種類と貸倒見積高】

(1)一般債権……………総括引当、貸倒実績率法

(2)貸倒懸念債権………個別引当、財務内容評価法・キャッシュ・フロー見積法

(3)破産更生債権等……個別引当、財務内容評価法

一般債権における実績率の適用単位や経理処理(差額調整法及び洗替法)の適用については、問題の指示に従いましょう。

なお、実務指針では、戻入と繰入を相殺して損益計算書に表示することを求めています。

簿記論の出題では、従来どおり、差額補充法及び洗替法の出題も想定する必要があります。



【関連記事】
貸倒実績率法
キャッシュ・フロー見積法



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テキスト記事一覧

10.7%の衝撃!! 推定20トン弱(嘘)

今年の税理士試験の合格発表日は12月10日(金)でした。

科目合格通知は、早い人で当日・翌日に届いているようです、今年は日曜日をはさんだため、まだ結果の報に接していない受験生も多いようです。

私はといえばもっとも衝撃を受けたのは、10.7%という合格率でした。

去年が20.7%だった事を考えると半減です。

もちろん例年からすれば去年が異常であり、今年が正常に戻っただけだというべきなのかもしれません。

しかし、同じ会計科目の財務諸表論が17%と高い合格率なのに対して、なぜ、簿記論は、との疑問が拭えません。

昨年が会計科目の合格率が20%で揃ったのに、今年は7%の差がつくのか。

どうしても理解できません。

いったい、どういうことなんでしょうか?

キャッシュ・フロー見積法

【キャッシュ・フロー見積法の計算方法】
具体的には、

(初年度)債権金額−割引価値 を貸倒引当金繰入

(その後)割引価値−帳簿価額
  または帳簿価額×率    を受取利息 又は 貸倒引当金戻入

と処理します。

その後の計算での帳簿価額は、前期以前に算定した割引価値です。


【キャッシュ・フロー見積法の意義】

キャッシュ・フロー見積法は、文字どおりキャッシュ・フロー(この場合、現金収入)を基礎に貸倒引当金を計算する方法です。

具体的な割引価値の計算は、実際の現金収入(利息は、切下後で計算)を「当初の約定利率」で割引いて計算します。



【キャッシュ・フロー見積法の特徴】
キャッシュ・フロー見積法がなぜわかりにくいのかについて、私は、当初この割引価値の計算がわかりにくいのかと思っていました。

もちろん確かにわかりにくいです。

しかし、どうやらもう一点、キャッシュ・フロー見積法を分かりにくくしている原因があるらしいことに気付きました。

それは、貸倒引当金の意味の理解不足です。

貸倒引当金は、債権に対する控除的評価勘定です。

この意識が薄いと問題も手がけにくくなるようです。

貸倒引当金を債権に対するマイナス勘定としてきちんと捉えていないと二年度目以降の処理がグチャグチャになってしまいます。

今までの貸倒引当金の計算は、いわば繰入額を算出していました。

100円の貸付金がある。

その10%が貸倒れそうなら、10円の貸倒引当金を繰入にすればよいです。

仕訳でいえば、


(借)貸倒引当金繰入10(貸)貸倒引当金10


の借方・貸倒引当金繰入を算出していたのです。

これに対してキャッシュ・フロー見積法は、90という金額を先に出しています。

その債権の実質的な価値を先に計算して、100−90=10という形で、貸倒引当金(繰入)額を算出しているのです。

この理解があると二年度目以降の処理は、さほど苦にならないでしょう。

1年経過して、現在価値が94円になれば、貸倒引当金の設定(残高)は6円(100円−94円)でいいので、4円の貸倒引当金を戻入れればよいことになります。

もっとも、実務指針ではキャッシュ・フロー見積法の2年度目以降の処理の原則的な貸方科目を受取利息としています。

計算方法としても、
「直前の簿価×率」と「現在価値の差」という計算の仕方があることになりますが、もちろん端数処理を除いて、結果は一致します。

ただ、実際問題として1円の違いがでることが多いですが、許容範囲でしょう。

直前の簿価×率 → 受取利息
現在価値の差  → 貸倒引当金戻入

という勘定科目の使い分けが望ましいでしょう。

ただ、特に最初は、理解(ないしは記憶)しやすい計算方法、処理科目で入って、それに慣れた後に、もう一つの計算(科目)の意味を考えるといいかもしれません。


【キャッシュ・フロー見積法と償却原価法(利息法)】

キャッシュ・フロー見積法の計算構造は、満期保有目的債券等に適用される償却原価法(利息法)と同様です。

計算に利用する金額と率を二系統(仮に名目と実質)に分けて考えると次のようになります。

(利息法)
名目額  額面金額
実質額  帳簿価額
名目利率 名目(クーポン)利子率
実質利率 実効利子率

(キャッシュ・フロー見積法)
名目額  貸付額等
実質額  割引価値=帳簿価額(債権-貸倒引当金)
名目利率 切下後の利率
実質利息 切下前の利率

利息法では実効利子率がわかっていないのに対して、キャッシュ・フロー見積法では、実質額の部分がわかっていないという違いがあるだけです。

しかし、利息法における実効利子率の計算は難しいので、問題で与えられる(ものしかみたことはありません)。

その分、利息法の方が手がけやすいでしょうか。



【関連記事】
キャッシュ・フロー見積法の戻入の処理
利息法と定額法
利息法の考え方



引当金<目次>

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無形固定資産の償却期間

【無形固定資産】

固定資産のメインは、使用目的の資産です。

そのうち、実体のない(無形)の資産が「無形固定資産」です。

無形固定資産には、(1)法的な権利(特許権、商標権等)、(2)のれん、(3)ソフトウェアがあります。

昔は、無形固定資産といえば、必ず〜権と、最後に「権」がついたんでわかりやすかったです。

今は、これに「のれん」と「ソフトウェア」が加わっているのでうまいこと整理ができないのが残念です。



【償却期間】

のれんは、20年以内で定額法等により償却します。

その他の法的な権利に関しては、指示された償却期間で、通常、月割償却を行います。

「期割」と「月割」の使い分けは、問題の指示を最優先すべきです。

減価償却同様に月割計算が多いです。

問題の指示がない場合は月割計算でいきましょう。

ソフトウェアについては、別途触れます。



【関連記事】
ソフトウェアの会計処理



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洗替処理と切放処理

【有価証券の翌期の処理】

期末に評価した有価証券の翌期の処理方法には、「洗替処理」と「切放処理」とがあります。

仕訳に着目すれば、翌期に逆仕訳を行うか(洗替)行わないか(切放)の違いです。

取扱いを簡単に整理しておきましょう。

売買目的有価証券 → 選択
その他有価証券  → 洗替
減損処理の場合  → 切放




【売買目的有価証券】
売買目的有価証券は、評価差額を損益とします。

この点を考えれば、本来的には、切放処理が合理性を有するでしょう。

しかし、実務指針では、洗替処理を好ましい処理と考えているようです。

実務上は、切放処理は面倒というのが、隠れたる理由かもしれません。

金融商品会計基準では、どちらが原則的か、ではなく、いずれかの選択となっています。



【その他有価証券】
その他有価証券に一般的に適用される純資産直入法は、純資産直入そのものが、やや暫定的との感が拭えません。

洗替処理は、むしろ当然というべきでしょう。



【減損処理があった場合】
減損処理は、時価による評価というより、取得原価(帳簿価額)の修正に近いといえます。

原価の修正である以上、切放処理は、当然です。

評価を切り下げた金額が「原価」なのですから、当初の原価(原始取得原価)に戻す処理は行われません。

なお、売買目的有価証券に、減損処理の取扱いはありません。

いつでも通常の時価評価が行われるだけです。

選択している処理方法に基づいて処理されます(洗替処理もありうるので注意が必要です)。



【関連記事】
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