税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

続・続新静態論(←くどいって)

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


複式簿記の歴史は長く、その基本的な仕組みの部分は、それほど変ってはいません。
ただし、その中身は、今でも変化を続けているといってよいでしょう。

静態論(財産計算重視) → 動態論(損益計算重視) → 新静態論(財産計算重視)

おおむね上記のような歴史的変遷があった(最後の部分はありつつある)といってよいと思います。

今は、動態論から新静態論への移行期にあたるといってもよいと思いますが、静態論や動態論ほどに新静態論が秩序だって説明できるほど体系化されているという訳でもないようです。
現実の動きのスピードに理論の整理が追いつかないといったところかもしれません。

静態論・新静態論ともに、財産計算に重きを置いています。
誤解を恐れずに極めてシンプルに両者の体系を理論的に説明するとすれば、次のようにいえるでしょう。

(1)資産と負債の範囲を決める。
(2)その差額、すなわち資本(純資産)の増が利益。

むむむっ。あまりにシンプルかもしれませんが、こんなもんかもしれません。
このような考え方をとった場合には、資本の独自性はやや後退し、むしろ、資産と負債をきっちりと決めることに重きが置かれます。
資産・負債を決めて、その差額が、資本。
今回の「資本の部」の「純資産の部」への変更の背後には、このようなスタンスがあるといってもよいのではないかと思います。

次回以後でこの「純資産の部」の変動計算書である「株主資本等変動計算書」をご紹介したいと思います。

続・新静態論?

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


基本的な簿記の仕組み(器)は長きにわたってそれほど大きな変化をみせている訳ではありませんが、その中身は、時代と共に移り変わっています。

(1)静態論 → (2)動態論 → (3)新静態論

おおむね、歴史的には、上記のような推移をみせているといってよいでしょう。
もっとも、「静態論と動態論」自体は、きちんと整理されているといってよいでしょうが、新静態論は、今まだその途上にあるといった方がよいかもしれません(「新静態論」という呼称も必ずしも一般化しているとはいえないかもしれません)。

静態論では、財産計算が重視され、動態論では、損益計算が重視されています。
新静態論では、財産計算に重点が置かれていると「とりあえず」はいえるでしょう。

新しく「資本の部」が「純資産の部」に変更されることが予定されていますが、この呼称(そしてそれに伴う内容の変化)もこのような新静態論への変化という流れを汲んでいるといってよさそうです(「純資産って何だ?」参照)。

資本という語が単独での意味を伴っていたのに対して、純資産の語が、もっぱら「資産−負債」を意味していることからもその事は伺えるのではないでしょうか。

次回は、新静態論のもとにおける資産・負債・資本(特に負債と資本)がどのように考えられているのかから「資本の部」の「純資産の部」への変化を考えてみたいと思います。

平成18年 簿記論講座 10月第4回(商品の期末評価)

【要チェックポイント】
(1)払出単価の決定方法(後入先出法に注意)
(2)棚卸減耗損・低価法評価損の算出


【期末商品の評価】
(1)期末評価の方法
(ア)継続記録法
(イ)棚卸計算法

(2)払出単価の決定
(ア)先入先出法
(イ)後入先出法(その都度、月別、期別)
(ウ)移動平均法
(エ)総平均法

(3)棚卸減耗費
(期末消費帳簿棚卸数量−期末商品実地棚卸数量)×期末商品単価

(4)商品評価損
(イ)品質低下・陳腐化評価損
(ロ)低価法評価損
(ハ)強制評価減


【チェック問題】オススメ度(◎→○→△、※は参考)
二級編13(○)
二級編14(○)
基本 基本編32(○)

新しい簿記の話とランキング

いやー、新しい簿記の話に夢中になってたら、ランキング急降下です。
でへへ(←使い方はあってるのか?いや、使い方はないか)。

このネタだけで3年くらいはいけるんじゃないかと思ってました。
でも、書いていて、ピタリと手が止まったり、とりあえず文字を並べてみてもイマイチだったりします。
そうこうしているうちに一般的な記事が飛びます。
うーん。

そうこうしているうちに楽天とTBSのニュースが。
おおっ。これはつながるぞ。
新しい簿記の話ともつながるんだぞー。
と思っているだけで静かに時は流れていきます。
うーん。

まあ、このブログの更新があろうがなかろうが時は流れます。
ランキングが急降下しようが、時は、ただ静かに過ぎ去っていきます。
悠久の時間の流れの中で、たかがブログのランキングごときにそれほどの価値がある筈はありません。

ありませんけど、どうか一つ、ご協力(1クリック)の程、よろしくお願い申し上げます(←オチも読めましたな)。


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役員賞与の取扱い

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

「新静態論」の話を続けようと思ったのですが、なかなかうまくつながりません。
これも日頃の行いか。
いや、実力か。
うまくつながらないので、リリーフです。

これも新しいところといってよいと思いますが、役員賞与の取扱いです。
従来の利益処分処理から費用処理への変更になります。

厳密には、これまで、「実務対応報告」というので、原則は費用で、利益処分を許容という取扱いでしたが、これが費用処理一本ということになりそうです。
実質的には、ただ、費用処理というだけですから、それほど大きな影響がある訳ではないかとも思います。

後は、試験的には、費用処理なので役員賞与引当金の設定がありうる点くらいでしょうか。

それほど大きな変更という訳ではありませんが、気にとめておきたいといったところでしょうか。

新静態論?

新しい簿記の話」を続けています。
メインは、次の三点になります。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)


複式簿記は、その誕生から五百年を超える長い歴史を持っています。
その間、記帳の基本的なルールはあまり姿を変えていないといいます。
ただし、その中身は同じだったのかというと、必ずしもそうではなかったようです。

簿記の仕訳に使われる五つの要素、資産、負債、資本、費用、収益。
簿記の基本的ルールは、あまり変ってはいませんが、これらに対する見方も、必ずしも同じではなかったのです。

先日、貸借対照表に関する見方の話をしました(「静態論」と「動態論」)。
いずれも貸借対照(または会計全般)に対する考え方です。
静態論のもとでは、「財産の計算」を中心とし、動態論では、「損益の計算」が重視された訳ですが、歴史的には、静態論から動態論へと移行してきました。
そして、今、その比重は、再び「財産の計算」に移行しつつあります。
このような新しい会計に対する見方を指して、「新静態論」という場合があります。

この数年、我国で公表された新しい会計基準についても、貸借対照表項目を決算時の時価(ないしはこれに準ずるもの)で把握しようとするものが目立ちます。
その対象は、有価証券をはじめとする金融資産(負債)から固定資産、そして棚卸資産へとその対象を広げつつあります。
今回の財務諸表の変更もこのような一連の会計基準の変革の延長線上にあるといってよいでしょう。

新静態論の話は、まだつづきます(って、いうかあんましてないような気が)。

簿記1級 会計学 ○×理論問題2

【対象=1級以上(簿記論以外)】

(問題)
次の文章の正否を○×の符合で示しなさい。

(1)正規の簿記の原則には、財務諸表が誘導法により作成されるという意味も含まれている。

(2)資産および負債の配列は、原則として流動性配列法によることとされているが、業種によっては固定性配列法を採用することも認められる。

(3)収益の計上は実現主義によって行われるが、発生主義によって収益の計上が行われる場合もある。

(解答)
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「動態論」と「静態論」

「新しい簿記の話」の続きです。
メインは、次の三点です。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案(利益処分計算書)がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

貸借対照表の資本の部が純資産の部に変更されることが予定されています。
この貸借対照表ですが、これまでにまったく同じ見方・考え方でとらえられていたのかというと必ずしもそうではありません。
時代によって、貸借対照表に対する見方は大きく異なります。

動態論とか、静態論という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
これは、貸借対照表に対する見方(あるいは、会計全般の考え方)を意味します。

かつて、貸借対照表は、売却価値のある財産の一覧表と考えられていました。
このような貸借対照表に対する見方は、「静態論」とか、「静的貸借対照表論」と呼ばれます。
企業の有する財産を一定時点で精算してしまったらいくらになるのかがそこでの課題といえます。
そこでの中心は、あくまでも財産の計算です。

これに対して、貸借対照表を単なる財産の一覧表ではなく、損益計算を行った上での未解決項目の一覧表とみる考え方があります。
このような貸借対照に対する見方は、「動態論」とか、「動的貸借対照表論」と呼ばれます。
企業は、そもそもその有する財産の全てを精算するために存在する訳ではなく、継続的な活動を行い、その活動の中で利益を獲得することを狙いとしています。
その利益をきちんと計算することが動態論における中心的課題といってよいでしょう。

ややラフにいうと、会計の歴史は、「静態論」から「動態論」へと移行し、そして近時、その振り子はかつての静態論とは異なるものの、また、財産の計算へと戻りつつあります。
時として、そのような考え方は、「新静態論」と呼ばれたりします。

っていうか、全然「新しい簿記の話」になってませんが、本題は、ここからです。

つづく(やっぱし)。


損益計算書もちと変わります

「新しい簿記の話」の続きです。
メインは、次の三点です(い、一点増えてますが)。

●「資本の部」が「純資産の部」になる。
●「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書は、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

今回は、ちと忘れていた損益計算書の話です。
新たに「株主資本等変動計算書」が導入されることが予定されていますが、損益計算書の末尾(当期純利益よりも下)については、この株主資本等変動計算書に記載されることになります。
ということで、損益計算書の最終値は、「当期未処分利益」ではなく、「当期純利益」になります。

「損益」を当期の「収益−費用」とするなら、今までの損益計算書は、純粋な損益だけの計算書ではありませんでした。
収益や費用というフローの項目以外に、いわば利益処分的な計算(正確には、株主総会での利益処分の対象となる「未処分利益」の計算)を含んでいた訳です。
ぶっちゃけ、ちとインチキくさかったんです(言い過ぎか)。

これが、純粋な損益計算に限定される訳ですから、会計の側からみた場合には、より好ましい改正といってよいのではないかと思います。
そもそも、損益計算書の末尾がわかりにくかったですし、最近では、私もよくわかんないくらい複雑になってました。
なんとなく、一安心です。

次回以降では、このような財務諸表(計算書類)の変化について、考えていきたいと思います。
オススメ
税理士財務諸表論穂坂式つながる会計理論【第2版】
穂坂治宏
ネットスクール出版
2021-09-16

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